小説「殺戮にいたる病」の最後の2行がやばすぎる。
我孫子武丸作「殺戮にいたる病」という小説を読んだ。
「殺人事件」・「叙述トリック」・「あっ!と驚きたい」
そういう人はぜひ読んでほしい。
電車で読んでいると、確実に乗り過ごせる。
この小説は面倒な前置きがなく、
犯人が最初からどんどん人を殺すから退屈しない。
そして、割と最初からかなり疑われている。
「このペースじゃ小説の半分くらいで捕まるんじゃ?」という杜撰さがあるので、
ずっと緊張感がある。
そして何よりすごいのが最後の2行。
その後に超短いエピローグがあるので
厳密には最後とは言いがたいが、
この小説の最後である2行がキモだ。
この本は文庫で316ページあるが、
実質この2行の為だけに存在している。
それくらいこの「最後の2行」はやばい。
いや、厳密に言えば「1行」だ。
2行っていうのは、
1行目がセリフで、2行目がト書きになっている。
ト書きはどうでもいいので、1行目が大事だ。
だから詳しく言えば「最後から2番目の行」が物語のコアであり、
すべてのネタバレになる。
でも「最後から2番目の行」というとなんとなく締まりがないので、
ト書きも含めて「最後の2行」と書いている。
2行2行言い過ぎて2行がゲシュタルト崩壊してきた。
だが、本当にすごい。
おそらく1回は、もう一度小説を読み直したくなる。
「どこで騙されたのか?」
「いやいや、そんなはずないだろう」
「だって確かにあの時…」
そう思ってページを巻き戻す。
そして気づく。
「よくも…騙したなぁーー!!」
騙したのは作者ではない。
自分だ。
自分自身の先入観によって、
「自分で自分を騙していた」ことに気づくのだ。
いや~、先入観ってこわい。
ちょっとグロいですが、気になる方は読んでみてね!